ハッとした出来事。

先日、高校1年生の生徒さんのレッスンをしていた時の事です。

ショパンのノクターン20番 遺作をやっと両手で通しで弾けるようになってきているところで、(譜読みの段階から曲想やフレージングについて説明しながらのレッスンです。)

最後の音を弾いた時に、私は今までになくビックリしました。


まあそれはそれは、綺麗な音が出たんです。
柔らかくて芯が通っていて澄んだ響きの、彼女の中での最高の音だったと思います。
20年選手のC3でもちゃんと響いてました。

(趣味で習いに来ている子です。)


彼女はうちの教室に来てもうすぐ8年。
進学校に通っているので自分のペースでずっと地道に続けて(その前もヤマハ音楽教室でエレクトーンとピアノをやっていたそうなので)、かれこれ10年以上がんばっています。

手のトレーニングを10歳の頃から続けているので、素の音でも割と優しい音を出してたのですが、ちょっと頼りない印象の音色でした。
レッスン中ではおそらく、指先に手の力と気持ちが上手くのって(心・技・体 が全部研ぎ澄まされた…といったところでしょうか)
「本物の一音」が出た瞬間に立ち会えました。

今までの素の音がその辺に売ってるアクセサリーとすると、
彼女が出した音は、「本物のジュエリー品質の音」になります。

ピアノを専攻してる訳ではないので難曲を弾きこなす訳でもないしバリバリ弾くタイプでもない生徒さんですが、こんなに素敵な音を出すことが出来るようになります。
逆を言うと、難曲を弾いていてテクニックがいくらあっても、本物の音が出せてない(出し方がわからない)方がたくさんいるのも事実です。


ちなみに、私が本当に先生から褒められた音を出せたのは高校2年生の頃です。
小さい頃は出せてたようですが、次第に上手くいかなくなり、
こんなに時間がかかってしまいました汗。

1音出せるようになっても初めはものすごい集中しないと出せないので、つい元々の楽な弾き方(素の音)で弾いてしまって、散々怒られてちゃんと弾くと

「どうして初めからその音で弾かないの!!」(サボるな!)

と注意されてました。
しかも何度も…。(ごめんなさい。)

今では普通に弾いてもそこそこ綺麗な音は出せます。
でもとびっきりの良い音をずっと出そうとすると、ものすごい集中するので疲れますね。。
(全集中の呼吸を24時間やり続けるような感じですw)

このジュエリー品質の音をすべての音符に対して出来るようになった時に初めて、
作曲家に対して失礼のない演奏に値するんじゃないかなと思います。
曲を作る時に音に魂を吹き込んでいる作曲家さんに対して、素の音では納得してもらえないと思います。

こういった瞬間に立ち会える事は、教えていて本当に嬉しいです。




コメント
name.. :記憶
e-mail..

画像認証
画像認証(表示されている文字列を入力してください):